女性会館では11日、原宿カウンセリングセンター所長で臨床心理士の信田さよ子さんを迎えた講演会「これからの母娘関係―カウンセリングの経験から」を開催しました。40歳前後のアラフォー世代の女性たちが悩む母親からの重圧と、これをどのようにふりほどくか。重いテーマですが、切れ味鋭くユーモアも交えて話されました。
少子高齢化、晩婚化が進み、いくつになっても「娘」という立場から降りられない状況が、確執を生む要因になっていると信田さんは指摘します。年齢でみると、彼女たちの母親は団塊の世代。信田さんいわく、「ロマンチックラブイデオロギーの洗礼を受け、家父長制への反発心を抱き、自己実現の夢を見て挫折した世代。果たせなかった夢を娘に託し、支配しようとする」。その支配の外に出るには、「母親を研究対象にするといい」とたくさんのヒントをくださいました。(詳しくは、信田さんの著書「さよなら、お母さん―墓守娘が決断するとき」「母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き」ほか)
連想が飛んで、以前、二回りも年下の職場の後輩と、メキシコで活動中のシニア海外ボランティア(共通の友人)を訪ねる旅をしたことを思い出しました。日曜市や美術館をのびのび歩き回ることができ、何気なく「娘との道中より楽しいかも」と漏らすと、後輩が「お互いに母役割、娘役割をしていないからですよ」とズバリ。母役割、娘役割とは別の自分になる時間や人間関係をいくつか持てると、気持ちが楽になるのかもしれません。


信田さよ子さんの講演会から(2015.7.11)