「潮目」というと大げさですが、講座を実施していて思い当たる節があります。2年前、14年度の「第11期アイセル女性カレッジ」は当初、「民間企業で働く育児休業中の女性」に絞った企画でした。事前に市内の企業約100社にDMを出し、脈のありそうな企業には電話でご案内しましたが、「今は該当者がいない」という返事がほとんど。応募は奮わず、公務員に対象を広げて実施しました。
それが1年後の夏、全3回の「育休復帰セミナー」はすぐに定員いっぱいになり、今年度も盛況でした。2年前は「育休は取ったものの、復帰できるか分からない」と不安の声が大きかったのに対し、今年は復帰することが前提となっている様子が伺えます。9月開講の第13期女性カレッジは就労中の女性を対象にキャリアアップを目指す内容にしたところ、経営者団体の協力も得て、定員を遥かに超える応募がありました。ワーキングマザーや管理職を含む33人の受講者で元気にスタートしています。
「女性活躍推進」が成長戦略の柱に掲げられたのが14年、15年8月には女性活躍推進法の成立といった社会情勢が追い風となっているのは確かでしょう。しかし、意識の変化が生活の中に根付くためには、待機児童対策や長時間労働の改善、女性に偏りがちな家庭内ケア労働の見直しなど、地道な土壌づくりが欠かせません。ノーベル文学賞受賞のボブ・ディランが代表曲『時代は変わる』を発表したのは半世紀前でした。彼のしゃがれ声を聴きながら、「まだこれから」との思いが広がります。
