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少しだけ専門をはみ出して

女性会館では月1回、休館日を利用した職員研修の時間を設けています。今年度から女性会館の業務に「女性のための総合相談」事業が加わったこともあり、相談業務の基本的な知識や他機関の取り組みについて講師をお招きし、レクチャーしていただいています。

6月の講師は静岡市社会福祉協議会職員の安藤千晶さん。清水区の「静岡市暮らし・しごと相談支援センター」(生活困窮者自立支援制度に基づいた相談支援の窓口)に勤務する安藤さんに、同センターで実施している生活困窮者の支援についてお話しいただきました。

相談内容は「食べるものがない」「明日電気が止められる。何とかしてほしい」といった切羽詰った状況のほか、ホームレス支援、ひきこもりやアルコール依存症、精神疾患、性同一性障害、発達障がいの当事者や家族の相談も少なくないといいます。行政等や仕事、生活に必要な手続きの支援のほか、宿泊先の確保、医療機関の受診など「とりあえずの生活支援」を実施し、他の専門機関やボランティアとも連携しながら生活の立て直しを図っていくそうです。

清水区のユニークな取り組みも紹介してくれました。一つは県歯科医師会と県社会福祉士会を中心に、医師や司法書士など多彩な専門職が加わった事例検討会「銀さら勉強会」。どうしても助けたい難症例を、異なる支援者が異なる視点で検討するのがポイントだそうです。もう一つは、この勉強会と市社会福祉協議会と清水医師会の三者で開催する「医療・福祉なんでも相談会」。生活困難者の背景は複雑なだけに、専門分野の垣根を越えた支援が有効だといいます。

強く印象に残ったのは「少しだけ専門をはみ出すと、連携がうまくいく」という言葉。日ごろ「男女共同参画」という視点での専門性は意識していますが、はみ出すアンテナも高めようとの思いを強くしました。

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