高校の部最優秀賞1句と一般の部最優秀賞1句と優秀賞3句が皆さんの投票で決まりました。
作品をご応募くださった皆さん、投票してくださった皆さん、ありがとうございました。
審査委員長である露の団姫さんよりコメントもいただきましたので併せてご覧ください。
最優秀賞
【一般の部】
女性初 昭和の声が まだ残る (ハルル)
(審査員長 露の団姫さんコメント)
SDGs(持続可能な開発目標)について、テレビや新聞などでも頻繁に取り上げられるようになった昨今。5つ目の目標である「ジェンダー平等」は、なぜか、「環境問題」や「貧困問題」に比べ、メディアで取り上げられる機会が少ないようです。それは、情報を選択し、報道するメディア側の問題ともいえるでしょう。
情報の受け取り手である視聴者や読者は令和の時代を生きています。そうだというのに、まだまだテレビの中では「夫」のことを「ご主人」といい、夫婦が紹介される番組では、夫はフルネーム、妻は名前のみ等、時代錯誤の表現が続いています。そして、情報として必要のない場面でも、わざわざ「女性初」という冠をつけて報道する人がいて、また、その見出しに食いついてしまう人がいる。どちらも、ジェンダー平等意識に欠けるメディアを作っている一人といえます。
「女子アナ」や「女医」、「美人すぎる〇○」…これらの言葉に違和感を持つことからはじめましょう。
【高校の部】
好きな人 たまたま自分と 同じ性 (鶏むねささみ肉)
(審査員長 露の団姫さんコメント)
2018年、ローマ教皇が同性愛者の男性に「(神が)あなたをそのようにつくられた」と声をかけ、肯定されたことが大きな話題となりました。
それでも世の中には、いまだに同性愛を「受け入れられない」、「認められない」(←って…どれだけ上から目線!?)、それどころか、「矯正する」…などというトンデモない意見がありますが、誰かを好きになる、また愛することに性別は関係ないはずです。ちなみに私自身はというと、性自認は女性で、恋愛対象は男性の「異性愛者」です。
同性愛者の人もいれば、異性愛者の人もいる。また、性別関係なく恋をする人もいれば、恋をしない人もいる。それは努力して変えられるものではありませんし、そもそも、変える必要のないものです。
自分の気持ちに正直に生きる、正直に人を愛する、これほどステキなことってありませんよネ!
優秀賞
【一般の部】
「俺は無理」 私も育児は 初めてよ (オオルリ)
(審査員長 露の団姫さんコメント)
数年前、夫婦で男女共同参画講演を行った際、参加者の男性から夫へ質問がありました。
「育児はやっぱり母性で行うものだと思うのですが、育児に必要なのは、母性ですか?父性ですか?」。
会場はザワザワ。私も夫がどう答えるのかドキドキしていると、夫が言いました。
「育児には、母性も父性も関係ありません。育児に必要なのは、愛です」。
子育てに関して、「男性が無理」なことは、「妊娠」と「出産」、そして「母乳」のみです。それ以外の、ミルクやおむつ替え、離乳食やお風呂、寝かしつけは、性別関係なくできるはずですヨ☆
会議室 見渡す限り おじさんだ (笹蒲鉾)
(審査員長 露の団姫さんコメント)
近年、社会のさまざまな場面で女性の割合を増やす動きが高まっています。それでも、意思決定の場にはまだまだ女性が少ないことが課題とされています。また、その場に女性がいても、男性の意見に従うことを前提とされていたり、女性自身が委縮して、発言や意思表示ができないような空気になっている場合も少なくありません。
会社をはじめ、世の中は多様な性で構成されています。おじさんだけで決める社会から、みんなで決める社会に変えていきたいですネ!
保護者欄 母が書くのは 父の名だ (ひろぽん)
(審査員長 露の団姫さんコメント)
「父兄」という言葉から、やっと「保護者」になった学校教育の現場。それでも、PTAの参加者は大半が母親で、PTA会長は男性という学校が少なくありません。子どもの世話をしているのは主に母親という家庭でも、なぜか保護者欄は父親の名前。これは家父長制度の名残ともいえるでしょう。
ジェンダー平等教育は、教科書だけでできるものではありません。子どもたちは、生活の中で見聞きしたものを吸収していきます。無意識のうちに夫の名前を書いてしまうのも固定観念の一種かもしれませんが、その無意識が、さらに次世代へ引き継がれてしまう可能性があることを意識しなければなりません。
たくさんのご応募ありがとうございました!
入選作品一覧はこちらからご覧ください。
ジェンダー川柳2022(入賞作品)