高校、一般の最優秀賞1句と優秀賞4句が皆さんの投票で決まりました。
作品をご応募くださった皆さん、投票してくださった皆さん、ありがとうございました。
選考委員長である露の団姫さんよりコメントもいただきましたので合わせてご覧ください。
最優秀賞
【一般の部】
別姓で 無くなりません 家族愛 (サク)

なかなか進まない選択的夫婦別姓。現在、夫婦同姓を義務付けているのは世界中で日本だけで、国連からも何度も勧告を受けています。「夫婦別姓だと家族の絆が…」という人もいますが、同姓ならばDVはないのでしょうか?不倫はないのでしょうか?虐待は…?「同姓」=「絆」ではないことは明らかです。ちなみに私自身も夫婦別姓を望む一人で事実婚生活を送っていますが、家族は仲良しですし、息子が学校でいじめられることもありません。今回、この一句に沢山の方が投票されたということは、夫婦別姓に対する社会の関心が高まっている証拠です。どうか、「好きな人と同じ姓になれる結婚」、「自分の姓のままできる結婚」、どちらも叶えられる選択的夫婦別姓の早期実現を願います。
【高校の部】
「手伝うよ」 家事もあなたの 仕事です (すとろべりー)

今年度からはじまった高校生の部。こちらの一句は親同士の会話をリアルに再現し、その場の空気や緊張感が伝わってくる見事なものでした。性別での役割分担意識は、社会や家庭といった環境の中で年月をかけて作り上げられる固定観念です。だからこそ、身近な大人が男女共同参画を実践していくことは、子どもたちにとっての良いジェンダー教育になるでしょう☆
優秀賞
知っていて 「産休」「育休」 休暇じゃない (うーるちゃん)
(審査員長 露の団姫さんコメント)著名人の男性が育休を取得!というニュースを見ると、その日数はたったの三日、たったの一週間…。これを育休と呼ぶことじたいが驚きですし、最近では「逆に夫が育休を取ると何もせず家にいるだけなので家事が増えるだけで迷惑」という声もあるようです。しかし、「だから男性の育休は意味がない!いらない!」という結果にするのではなく、しっかりと家事育児に取り組みましょう。
ママ、ママと 呼ぶな夫よ 生んでない (あまた)
(審査員長 露の団姫さんコメント)結婚前の一人暮らしでは出来ていたはずの「炊事洗濯」。それが結婚して妻ができた途端にできなくなる症状に何と名付けたら良いのでしょうか?それは、社会の風習を盾に自身が都合良く作り上げた性別的役割分担を言い訳にした甘えでしかありません。結婚は自立した者同士がするものです。子どもの目線に合わせて呼ぶ「ママ」と、自分の母親に甘えるように呼ぶ「ママ」。同じ言葉でも、その微妙なニュアンスの違いを妻は感じ取っていますよ。
彼女とか いないの?います 彼氏なら (庄野 酢飯)
(審査員長 露の団姫さんコメント)「異性愛が当たり前」という人は、まだまだおられるようですね。その前提で語られる日常の何気ない一言は、多くの当事者を傷つけ、また生きづらくしているでしょう。最近では「パートナー」という言い方も馴染んできました。自身の固定観念を少しずつ取り除いていくことが人の輪を広げます。そして、固定観念を変えていくきっかけになるのがちょっとした言葉遣いなのですね。
彼競馬 私は出馬 思案中 (エミテン)
(審査員長 露の団姫さんコメント)企業や団体の意思決定機関や、政治の場にもまだまだ女性が少ない日本。それでも時代は変わりつつあり、私が暮らす兵庫県尼崎市は、全国初の二代連続女性市長です。そして、“ご近所さん”である芦屋市も、宝塚市も女性が市長。阪神間の小学生の中には、「私も市長さんになりたい!」と親に話す女の子も多いのだとか。女性も男性も様々な場所で活躍することが、子どもたちの未来を広げていくでしょう。
たくさんのご応募ありがとうございました。
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