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男性が介護するということ…

帰り道、家々からサンマを焼く香りが漂ってきます。空にはうろこ雲、いよいよ秋ですね。

秋の講座シーズン、皮切りは男性介護者をテーマにした講演会&体験発表会でした。「男性介護者」という言葉に、「?」という反応をされる方も多いのですが、妻や親を介護する男性は確実に増えています。自宅で家族を介護している人の3人に1人は男性というデータもあり、家庭介護を女性が担ってきた時代は過去のものとなりつつあります。

講師は「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長で立命館大学教授の津止正敏さん。2009年3月のネットワーク設立の翌年に講師として来てくださって以来のお付き合いです。ネットワークは男性の介護体験記を全国から募って書籍にする事業のほか、「『介護退職ゼロ作戦!』を社会運動に」をスローガンに活発な活動を展開しています。

津止さんは介護保険16年を検証し、「介護の社会化」を「在宅の介護環境整備」の方向で進めたことから、在宅介護期間の長期化、介護する・される側の高度化・重度化、家族間の葛藤・紛争の要因拡大など新たな課題が出現したと指摘。この半世紀で主たる介護者も形態も変容を遂げ、男性介護、老老介護、認認介護、ヤング介護(孫、甥姪)、介護赴任など「想定外」だった介護実態が生まれたといいます。

では介護はつらいだけなのか。体験記には介護の負担感と喜び、つまり「介護感情の両価性」が表現されているそうです。男性介護者の声が問いかけるのは「“介護のある暮らし”こそ人生をより豊かにしてくれる新しい“生き方モデル”ではないか」という気付きであり、「介護のある暮らしや働き方を社会の標準にしよう」と結びました。

後半、当館で活動している男性介護者交流会のメンバー7人が「切羽詰った自分を交流会が救ってくれた」「妻が倒れて、当たり前の日常が当たり前でなくなった。いろいろ文句を言ってきたが、妻にわびたい」と次々に語って涙を誘いました。津止さんが勧める「介護体験を経験知として共有化する」ために、交流会会員が語り部としてデビューする日が近いかもしれません。

(写真右:体験を披露する男性介護者交流会のメンバー 9月2日静岡市女性会館)

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