「育休世代」のジレンマ(イクキュウ セダイ ノ ジレンマ)
書名 | 「育休世代」のジレンマ(イクキュウ セダイ ノ ジレンマ) |
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副書名 | 女性活用はなぜ失敗するのか?(ジョセイ カツヨウ ワ ナゼ シッハ) |
種別 | 図書 |
編著者 | 中野 円佳∥著(ナカノ マドカ) |
出版社 | 光文社 |
出版年 | 2014.9 |
出版地 | 東京 |
大きさ | 18cm |
ページ数 | 349p |
ISBN | 4-334-03816-8 |
分類 | 366.38 |

女性が働くための制度が整った2000年代に総合職として就職し、出産した「育休世代」の女性たち。著者も当事者の1人である。男女平等の教育課程で勝ち残った彼女たちは、就職、結婚、妊娠という過程で初めてジェンダーを意識する。そして「自己実現プレッシャー」と「産め働け育てろプレッシャー」の狭間で職場を去るのは、意外にも「男なみ」の仕事とやりがいを求める、自己実現願望の強いタイプだという。昇進・出世が限定される「マミーズトラック」(母親向け就労パターン)に乗ることを、潔しとしないからだ。就活で、女性が働きやすい企業や「女性向き」の職業を選んだり、仕事と家庭の両立そのものにやりがいを転嫁させることができたりした女性が、むしろ継続して働いているという。
一方、夫婦間では、妻側が育休や時短制度を利用して家事・育児の主体となることが、家庭内のジェンダー秩序を強化する側面もあるという指摘には、どきりとさせられる。
このように「勝ち組」とみなされる女性たちでさえ、やりがいをもって働き続け活躍することのハードルは高い。この葛藤を個人の問題として放置すれば、次から次へと新たな女性が同じ状況に突入していき、葛藤を再生産することになる。
著者はこれを社会の構造の問題ととらえ、政府、教育界、企業、女性に対していくつかの提言をしている。この状況をなんとか好転させ、多くの女性、男性の働きやすさにつなげたいという著者の思いが伝わってくる、渾身の1冊である。(遠藤)
「『育休世代のジレンマ』を読んで心に残った言葉」
抜本的な解決のためには、男性が社会的な地位を独占している社会を変えること、ケア責任を担ってきた女性が、意思決定過程に参加する機会を図ること。