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生のみ生のままで

書名 生のみ生のままで

16 年前「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した綿矢りさの新作「生のみ生のままで」。当時中学生で読んだ「蹴りたい背中」は衝撃的だった。思春期の不安定な心や寂しさ、攻撃性を表す言葉が自分に染みて、同じように感じる人がいるんだと安心したことを覚えている。
そんな思春期の生々しさを表現してきた作者が、今回は同性との恋愛を描く。レズビアンの物語というわけではなく、主人公の逢依は普通に異性の恋人がいる。しかし芸能活動をする彩夏が、恋人との結婚を夢見る逢依に一目惚れするところから始まり、怒涛のような彩夏の愛に押され、逢依は最初拒みながらも少しずつ共鳴し、やがて互いに狂おしく愛し合うようになっていく。

設定としては同性だが、特別な人と出会い恋に落ちるという内容は、性別に関係ないラブストーリーとなっているので、あまり同性の恋愛作品を読んだことがない人にも読みやすい物語と言える。肉体関係の描写はいくつかあるが、官能的な表現はそんなに強くない。タイトルにある通り「生のまま」お互いを愛しているというのが伝わるようなシーンに感じた。同性ならではの絡みは読んでいて楽しくもある。一方で、同性愛に対する世間の目や常識は主人公を通してリアルに感じられる。婚約まで進んだ恋人と別れを告げ、女同士で付き合うことに、恋人からの「錯覚だろ」という言葉。親からの「子どもはどうするの」という言葉。大切なパートナーなのに、周りにカミングアウトできず自分たちの関係を誤魔化す苦しさなど、異性恋愛にはない苦悩がリアルに描かれている。そして二人に訪れる試練を乗り越えた先にある愛が、読み終わったあとに胸に温かく残る作品である。(山野綾)

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